花の種が届いた。
大切な大切なお友達から。
姉のように慕っていたいとこが繋いでくれたご縁。
「あなたは奏で者なのよ」
彼女にいとこが最期に遺した言葉。
奏で者。
うたうたい。
悲しみも。
喜びも。
魂の奥底から奏で生きる女性だ。
 
人生の半分を超える年月。
摂食障害と自傷。
共に生きて。
向かい合い。
手放すためのプロセスに立ち。
日々を書き綴っていらっしゃる。
苦しみをただ吐露するのではなく。
同じ痛みを抱えた人に向けて。
そしてご自分の未来に向けて。
決意と覚悟を携えた言葉たち。
彼女と出会って1年あまり。
私を導いてくれた道しるべ。

苦しみの中に在っても。
苦しみの中に在ってこそ。
熟れる傷口に爪を立て。
種を埋め込み。
花咲き誇らせよ。
彼女はそう言って。
悲しみの全てを糧として。
いまもなお困難な中。
それでも凛と空に向かう一輪の花のように。
大地に根を深くはり。
大嵐にも倒れ折れることなく。
真っ直ぐ真っ直ぐ空に向かう。

「セイヨウセキチク」
彼女に頂いた種。
蒔き頃は9月から10月。
Xデーを迎えて。
人生の岐路を乗り越えたら。
この種を蒔こう。
新たな生活の場で。
困難を糧として。
花を育てていこう。
花が咲くのは来年の初夏。
その頃には私も咲いていたい。

20粒ほどの種と。
一緒に封された魔法の土。
苗が大きくなるまで守ってくれる。
私の人生にもきっと。
魔法の土はある。
ひとりで大地に根をはれるまで。
空に向かう限り。
誰かが何かが支えてくれる。
空に向かう限り。

だから大丈夫なんだよ。
さあ種を蒔いてごらん。
彼女からのメッセージ。
ひとは孤独なランナー。
人生の旅はいつでもひとり旅。
水遣りだって誰もかわってはくれない。
けれども恵の雨は降る。
魔法の土もある。
たった一粒でいい。
芽生えた種は花となり。
いつか誰かの心を灯す。
彼女が私を照らしたように。


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