「学校に行けない」時期がわたしには小中高のどの時代にもあった。
典型的ないじめられっ子だったから。


毎朝、隠される上靴を探すことから一日が始まっていた小3のとき、
強制的に書かされていた先生との交換日記に「死にたい」と書いたら、
学級会で『服部さんのいじめについて』を議題にされた。
副級長がみんなの発言する“理由”を黒板に書き並べる。
一番多かったのが「すぐ泣くから」だったけれど、
わたしは泣くことを我慢できなかった。
小学校は6年間ずっと仮病でよく休んだ。
保健室登校もした。

中学生になりいじめられなくなったのに、
クラスの誰かが笑うと自分が笑われてるように感じて、
怖くて苦しくて教室に入れなくなった。
父親に殴られ蹴られ車に連れ込まれて校門の中に叩き込まれる。
下駄箱まで行くけれど、上靴に履き替えられない。
スノコの上にしゃがんで授業が終わるのをじっと待つ日が続いた中学1年の春。

高校1年もつまづいた。
頑張りすぎて優等生を気取りすぎて、
クラスのボスとその仲間に吊し上げをくらった。
高校をやめて大検を受けようと資料まで取り寄せたりした。



死んじゃいたいと思ったことなんて、数えきれない。
死のうとしたことも、ある。
手首に傷、ある。
薬も、ある。



けれど間もなく41歳になるわたしはいま、
とても幸せで、

だから、あの日死なずにいてくれた自分に
心からありがとうと言いたい。

舞台の仕事がとても楽しいよ。
素敵な友人がびっくりするくらいたくさんいるよ。
新しい勉強を始めて尊敬する師に恵まれたよ。
姪っ子が涙が出そうなほど可愛いよ。
父さんも母さんも相変わらずだけど距離をうまくとれるようになったよ。
愛する人に出逢って愛する人から愛されているよ。


あの日のわたし。
あの夜のわたし。

その向こうに行かずにいてくれてありがとう。

あなたが踏みとどまってくれたおかげで、

あなたが逃げ伸びてくれたおかげで、

わたしはいま幸せです。

ありがとう。
生きててくれて。

ありがとう。
生き抜いてくれて。



だから、死なないで。

それだけで、十分なんだ。


There is always light behind the clouds
- Louisa May Alcott
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